学生体験記

東大病院研修医・学生の皆様

皆様初めまして。M4川口智也と申します。この度は私がM1の時より参加している臨床研究者育成プログラムでの体験を紹介致したいと思います。ご存知の通り、本プログラムはレクチャーコースと少人数コースより構成されていますので各々についてまとめます。

 まずレクチャーコースについては定期的に金曜日の昼休みに開かれており、予定の空いている時に気軽に参加できます。M1までの基礎医学系の講義が研究内容に軸足を置いている印象があるのに対し、M2の臨床医学系の系統講義はその時間の少なさもあって、各科の研究内容を伺う機会が多くありません。学生にとってその不足を補ってくれるのがこのレクチャーコースです。また研修医の先生方も近い将来どの医局に入るか、どの研究室で院生になるかをお考えになると思われますが、なかなか研究室にお邪魔する時間がない、また何となく二の足を踏む、という際には最初に有効活用できると考えます。

 一方、少人数コースについては私が所属したMetabolism Research Courseについての体験記となります。このコースは糖尿病・代謝内科、循環器内科、腎臓・内分泌内科、及び老年病科が4科合同で開催するものです。研修医・学生に対して広く門戸が開かれており、私はM1の時に最初に参加させて頂きました。具体的な内容としては院生の研究発表(データクラブ)や研修医・学生による論文紹介(ジャーナルクラブ)が行われます。また、時に海外から著名な先生方をお招きしてご講演を拝聴する機会もあります。それらの中で特に私が強調して紹介したいのは、研究室の垣根を越えて毎回多様な分野の先生方がいらっしゃり、活発な質疑応答がなされるということです。同時に生活習慣病という点で共通する4科合同開催であるからこその意義深く鋭い指摘や質問があり、同じ内容の発表に対していかに様々な観点から先生方が考察されているかを知ることは、教科書では得られず、会に参加して初めて得られるものです。

 またその延長線として、私は糖尿病・代謝内科の研究室にも参加させて頂きました。M3の冬にはClinical clerkship(当時)の期間を利用して研究室での活動に専念することができました。スタッフの先生方に手技などを御指導頂くと共にグループディスカッションにも参加し、テーマの背景や世界的なトピック、特に国際学会で何が論点になっているかも理解しつつ研究に携わるということを学部生時代に経験できることは、physician scientistたるべき今後の糧になると確信致します。
 年度始めには春の研究発表会が開催され、持ち時間20分という長い発表を経験致しました。質疑応答では教授の先生方も含め、突っ込んだ内容のご指摘・質問を数多く頂きました。教授に「既存の原理とデータの乖離」についてご指摘下さったことで新たな観点を持つに至り、あたかも学位論文の発表をしているような気持ちで、教訓を中心に鮮明な記憶とともに残っております。その折は御指導下さった先生方や質疑を頂いた先生方のお陰様で、学部長賞という栄誉ある賞を賜る機会にも恵まれました。それとともに、質疑応答で新たな視点を得たことが良き経験です。

以上が私の体験談のまとめです。プログラム参加者と交流の場がありますが、他にも多種多様な動機・活用法が可能なプログラムであることが分かります。学生視点での経験が少しでも伝わり、研修医・学生の皆様の積極的なご参加につながる一助となりましたら幸いです。拙い文章を最後までお読み下さり心より御礼申し上げます。

東京大学 M4 川口智也

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