学会派遣プロジェクト

日本放射線腫瘍学会に参加して

 私は臨床研究者育成プログラムの一環として、10月19日・20日に青森県青森市で開催された日本放射線腫瘍学会(JASTRO)第26回学術大会に参加してきました。本プログラムでは、少人数コースGeriatric/General Medicine Research CourseOncology Research Courseに参加しており、今回は後者のコースの一環としての活動となりました。普段は月に2~3回論文の抄読会を行っており、Oncologyに関する最新の知見を学んだり議論したりしています。学会に参加するのは初めての経験でしたが、今回参加することができとても意義深いものになったと思っています。

 基本的には自分の興味に沿ったシンポジウムや口演発表などを聴講していました。放射線腫瘍学、特に放射線治療計画などは大学では未習の分野でしたが、以前に東北大学で開催された医学生・研修医対象の放射線腫瘍学セミナーに参加して放射線の治療計画を実際に行ってみた経験があったため、比較的理解がしやすい内容が多かったように思います。今回の学術大会は「超高齢化社会における放射線治療の役割と責任」というのがメーンテーマだったため、発表も高齢者のがん治療に焦点を当てているものが多かったような気がします。「老年腫瘍学」という日本ではまだほとんど知られていないような分野の開拓の必要性も議論されていました。

 私は「腫瘍内科」、特にがんの薬物療法や基礎研究とのトランスレーショナルな部分に興味があるのですが、今回放射線医の視点からみたがん治療という側面が見られて興味深かったです。特に、食道腺がんに対するHerceptin vs Herceptin+RTの比較試験などのように、Radiationも含めてRCTが少なからず実施されているのにはとても驚きました。今後がん治療の分野では薬物療法間での比較のみならず、RadiationやResectionも含めた比較試験が重要なテーマになってくると思いますが、今回は腫瘍内科の分野の革新の一端を垣間見ることができたように思います。特別講演ではヒッグス粒子を研究されている東京大学理学部の浅野祥仁教授がご講演されており、概念はさすがに難解ではありましたが物理学者が語る放射線の話と、医学者が語る放射線の話はテイストがこうも違うのか、と感じました。すべての演目が終了したあとの懇親会では、放射線生物学の第一線で活躍されている先生のお話から、病院に放射線医が一人しかいないような地域密着型の医療をされている先生のお話までお伺いすることができました。

 分野を同じくする先生が一堂に会して活発な議論が行われる様子はとても学究的であり、このような議論が明日の診療に役立っているのだと感じました。また、発表されている先生がたの中には若手の方も多く、将来壇上に上がって発表している自分の姿と重ねて拝見していました。私も早く情報発信ができるようになるべく、日々の研鑽を積んでいかねばと痛感した2日間でした。

 素晴らしい機会を下さり、臨床研究者育成プログラムの方々には感謝しております。

M3 清水啓介

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