臨床研究個別プロジェクトコース紹介
Geriatric/General Medicine Research Course
世界に例のない高齢社会をむかえ、高齢者医療の重要性がますます高まっています。しかし、高齢者の診療は難しいとの声もよく聞かれます。その原因としては、加齢に伴う生理的な変化によって疾患の現れかたも治療に対する反応も若年者とは異なること、慢性疾患を合併していることが多いこと、老年症候群といわれる、物忘れ、転倒、嚥下障害、難聴、抑うつ、せん妄、睡眠障害などの特徴的な症候も頻繁にみられること、疾患の経過が生活環境や社会関係などによっても影響を受けるため包括的なアプローチが必要であることなどが挙げられます。老年医学はこうした高齢者の様々な条件や老化プロセスに対する理解と配慮の上に成り立つ独自の学問です。しかし、高齢者を対象とした臨床医学のエビデンスはまだ十分であるとは言えず、今後更なる研究が必要な領域です。
本コースでは臨床研究で用いられる基本的な統計解析の方法を学びます。さらに深く学びたい方は、老年病科で行っている臨床研究への参加も可能です。
主催 | 老年病科 |
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責任者 | 教授 小川純人 |
調整委員 | 矢可部満隆 m-yakabe@g.ecc.u-tokyo.ac.jp |
老年病科Webサイト | https://geriatrics.umin.jp/ |
本コースは以下のような活動を行っています。
1) 統計解析ソフトRを用いた解析実習
無料の統計解析ソフトRにより架空の患者データの解析を行います。以下のような解析法を学べます。
- t検定
- ANOVAとpost-hoc analysis
- 比率の差の検定
- 相関の検定
- 重回帰分析
- オッズ比の検定
- 最適なカットオフを求める
- Kaplan-Meier曲線とlog-rank検定とCox回帰分析
- ロジスティック回帰分析
- 傾向スコアマッチング など
2) 研究活動への参加
現在、老年病で行われている臨床研究活動に参加することができます。研究立案、倫理申請、データ収集、実際のデータベースを用いたデータ解析などを行い、学会発表、論文執筆を目指します。テーマについては個別に相談します。