臨床研究個別プロジェクトコース

臨床研究個別プロジェクトコース紹介

Geriatric/General Medicine Research Course

世界に例のない高齢社会をむかえ、高齢者医療の重要性がますます高まっています。しかし、高齢者の診療は難しいとの声もよく聞かれます。その原因としては、加齢に伴う生理的な変化によって疾患の現れかたも治療に対する反応も若年者とは異なること、慢性疾患を合併していることが多いこと、老年症候群といわれる、物忘れ、転倒、嚥下障害、難聴、抑うつ、せん妄、睡眠障害などの特徴的な症候も頻繁にみられること、疾患の経過が生活環境や社会関係などによっても影響を受けるため包括的なアプローチが必要であることなどが挙げられます。老年医学はこうした高齢者の様々な条件や老化プロセスに対する理解と配慮の上に成り立つ独自の学問です。しかし、高齢者を対象とした臨床医学のエビデンスはまだ十分であるとは言えず、今後更なる研究が必要な領域です。
また、高齢者の増加や医療の発達・モバイル化に伴い、在宅医療の重要性も高まっています。対象となる疾患は、認知症、がん、神経疾患、精神疾患、小児の先天性異常など多岐に渡ります。ただ、現在のところエビデンスが少なく、各医師の経験や外来・入院病床でのエビデンスを元に行っているのが現状であり、在宅医療も今後更なる研究が必要な分野です。
本コースでは学内外のセミナーへの参加を通して老年医学、在宅医療における幅広い論点について学ぶことを目標としています。さらに深く学びたい方を対象として臨床研究に関する勉強会や研究活動も行っています。

主催 責任者 調整委員
老年病科 准教授 小川純人先生 木棚 究先生 kidana-tky@umin.ac.jp

本コースは以下のような活動を行っています。

1) 学内外のセミナーへの参加(不定期)

老年医学、在宅医療に関する学内外でのセミナーや学会への参加を適宜メールで案内しています。
これまでとりあげたセミナーのテーマに、下記のようなものがあります。

院内: COPDの大規模臨床研究、在宅診療の見学、骨粗鬆症、高齢者の高血圧管理、老年症候群の意義、サルコペニア など
院外: COPDの薬物療法や外来管理に関するセミナー
間質性肺炎のガイドラインや新規薬剤に関するセミナー
不明熱の症例の勉強
変形性関節症のコホート研究の報告
睡眠時無呼吸症候群と夜間頻尿
過活動性膀胱の診療
高齢者のfrailty
高齢者の栄養療法の有効性に関する研究報告
性差医療のセミナー

2) 研究活動への参加

現在、在宅医療学講座において行われている各種臨床研究活動に参加することができます。個別に相談し、研究立案、倫理申請、データ収集、実際のデータベースを用いたデータ解析などを学び、学会発表、論文執筆を目指します。アジア/オセアニア国際老年学会議2023など多くの学会発表を参加学生・研修医が行っています。下に例を挙げてますが、これら以外にも多数のプロジェクトを進めています(http://chcm.umin.jp/research/)。

令和4年度プロジェクト例

テーマ 長期的に在宅医療を受ける患者の追跡調査
目的と方法 在宅医療開始時及びその後定期的に変化を追跡し、在宅医療の現状について調査している。

テーマ 災害時や新興感染症拡大時等における在宅医療を提供する医療機関等への支援体制についての調査研究
目的と方法 災害時や新興感染症拡大時には、医療機関と行政の連携を含めた様々な対応が必要になる。どこまで想定してどういった対策が練られているか等、医療機関、行政、有識者へ調査している。

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